細胞内で分泌蛋白質もしくは膜蛋白質が生産されると、それを細胞膜まで輸送するための仕組みが必要となります。分泌蛋白質および膜蛋白質に共通して存在する疎水性のアミノ酸配列のことをシグナルシークエンスと呼び、この構造は細胞内で生産された蛋白質が細胞内小器官で輸送される際に使用されます。
シグナルシークエンストラップ法は、様々な蛋白質をコードする遺伝子群(cDNAライブラリー)から、シグナルシークエンスを有する分泌蛋白質および膜蛋白質を選択的に同定する目的で開発された方法です。
目的とする組織もしくは細胞を対象に遺伝子ライブラリーをレトロウイルスベクターpMXにて作製し、個々の遺伝子をトロンボポエチン受容体の部分長(MPL)との融合蛋白質として発現させます。遺伝子導入に使用する細胞株は、IL-3依存的に増殖する性質を持つBa/F3細胞を使用し、目的の融合蛋白質が細胞表面上に発現された場合にのみ、IL-3を加えなくても増殖する性質を獲得するように設計いたします。Ba/F3細胞のIL-3非依存性細胞増殖を指標とすることによって、シグナルシークエンスを持つ分泌蛋白質および膜蛋白質の遺伝子を選択的に同定することが可能です。

